茨城県百里基地滑走路
暴発したミサイルは滑走路上で擦れて弾頭部分は空き地でバラバラに飛散し、本体は転がっていた。
爆発はしていなかった。
茨城県・百里基地F-15、搭載ミサイル暴発(ぼうはつ)事故!!
昭和61年(1986年) 9月4日 木曜日
4日午前八時半ごろ、航空自衛隊百里基地内の格納庫で、緊急発進(スクランブル)しようとした第七航空団所属のF-15戦
闘機に搭載された空対空ミサイル・サイドワインダーが暴発(ぼうはつ:突然発射)、約300m先の滑走路わきの空き地に落
ちバラバラに飛び散った。けが人はなかった。
沖縄県の那覇基地で昭和55年(1980年)に点検中のミサイルが爆発、四人が死傷しているが、戦闘機に搭載しているミサ
イルが暴発したのは初めて。防衛庁は破損が比較的大きく、熱電池が作動していなかったことなどから爆発しなかったとみ
ているが、一つ間違えれば大惨事。電気系統の故障か、整備ミスが原因らしい。航空自衛隊では最近F4戦闘機、T2練習
機の墜落事故などが相次いでおり、自衛隊は事故をひた隠しにし、発生から6時間も半も公表しなかった。
けが人なし、電気系統の故障か
航空自衛隊の調べによると、4日午前8時半ごろ、日本海に現われたソ連機を発見、百里基地にスクランブル司令を出し
た。同基地で待機中のF-15Jのうち、一番機が格納庫から出ようとエンジンスイッチを入れたところ、左翼下のミサイルが
暴発し、地面を這うように進んで滑走路を越え、約300m先の空き地に落ち、土煙とともに、135m四方に弾頭破片が飛
び散った。現場から基地外の道路までわずか200m足らずだったが、幸い被害はなかった。
基地周辺の住民は「ズシーンという地震のような地響きがしたが、何が起きたのか分からなかった。」と事故の凄まじさを
話した。
ミサイルが爆発したかどうかについて、防衛庁、百里基地の情報は二転三転、深夜まで混乱した。事故を重視した航空自
衛隊は、調査団を派遣し原因究明に乗り出した。
サイドワインダー(ミサイルの名称)は、熱線追尾方式で敵機を追いかけて爆破する仕組みになっている。暴発を防ぐため
の安全装置がついているが、スクランブル機は発進態勢に就くと格納庫内で安全装置を外すことになっており、事故機も安
全装置は外されていた。
事故原因について「流れない仕組みになっている電流がミサイル側に伝わってしまい、作動してしまったようだ。電気系統
になんらかの故障が起きたことも考えられる」(航空幕僚監部防衛部長談)。
航空自衛隊はF15、サイドワインダーの総点検を指示した。
引用:要約元・・・北国新聞 昭和61年(1986年) 9月5日 朝刊一面記事。
|