北国新聞朝刊 1987(昭和62年) 6月18日(木曜日)
小松基地 アラート格納庫、対空防備へタフな衣替え
耐弾型に全面改良鉄筋でドーム状
航空自衛隊小松基地のアラート(緊急発進用)格納庫とパイロット待機所が17日までに、これまでのトタンぶきなど簡易構
造から空からの攻撃にも耐えることができるシェルター方式などの耐弾型に全面改良されることになり、大阪防衛施設局が
1988年度末の完成を目指し、工事に着手した。来年度から同基地のスクランブル待機に加わるF-15Jイーグル戦闘機が、
現在の格納庫に入りきらないのを機に整備されるもので、同工事で、これまで兵器装備に重点が置かれ、手薄だった同基
地施設面の拡充整備も、ようやく一歩を踏み出す。
同基地によると、今年度は総工費6億7千万円をかけ、アラート格納庫2棟と、パイロットや整備士員が24時間体制でスク
ランブルに備える待機所一棟が建設される。格納庫の構造は、機密上、詳細は明らかにされていないものの鉄筋コンクリ
ート製で一棟の広さは約500平方メートルあり、F-15イーグル一機が完全収容できる。前後の出入り口に鉄製の片開きシ
ャッターが付けられ、通常の攻撃を受けても機能するよう全体がドーム状になり、同様の格納庫は全国7ヵ所の戦闘機基
地の中で那覇(沖縄県)、新田原(宮崎県)にある。
また、待機所はアラート格納庫と同じく耐弾製を考慮してRC工法を採用、仮眠室やシャワー設備などもある広さ350平方
メートルの平屋建になる。
1988年度はさらに二棟の格納庫が建設される予定で、完成すればこれまで格納庫二棟に2機ずつ待機の体制から、四
棟の格納庫に4機の体制に変更される。
現在のアラート格納庫は、同基地が設立された昭和37年に完成、鉄骨にスレートや波状トタンを覆っただけの簡易構造
で、老巧化も激しく関係者の間で「攻撃を受ければひとたまりもない」と指摘されていた。
同整備で同基地関係者は「仮に攻撃を受けた場合、航空自衛隊は陸上や海上と違い、基地内の施設確保が絶対に必要
であり、今度の改造でやっと施設整備の一歩を踏み出した」と話している。
小松基地には各18機の戦闘機を擁する第303と第306の二飛行隊があり、このうち第303飛行隊は、昭和62年度までにF-
4EJファントムが順次F-15Jイーグルに機首変更される計画で現在、F-15Jイーグル8機がすでに配備されている。このため
同基地からのスクランブルは、主に第306飛行隊のF-4ファントム機があたっている。
引用元:北国新聞朝刊 1987(昭和62年) 6月18日(木曜日)
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